あけましておめでとうございます。
昨年はこのブログにお付き合いいただきまして、ありがとうございました。
今年も「裁判所」をキーワードに投稿がんばりますので、引き続きよろしくお願いします。
犯罪被害者への給付金、最高で自賠責並みの4千万円
(2007年11月6日 読売新聞)
政府の犯罪被害者施策推進会議は6日、犯罪被害者に国が支給する給付金の最高額を、交通事故で支払われる自動車損害賠償責任保険(自賠責)並みの約4000万円に倍増するなどの被害者支援策を決定した。
支援策は経済的支援など3分野で、政府の検討会が案をまとめた。
犯罪被害者給付金は現在、障害が残った被害者に最高約1850万円、死亡した場合、遺族に最高約1570万円が支払われることになっているが、自賠責では、障害が残った場合に最高4000万円、死亡事故では3000万円が払われるため、犯罪被害者から増額を求める声が強かった。
支援策には、特に平均収入が低い若い被害者に障害が残った場合や亡くなった人の扶養家族が多い場合などに弾力的に増額することも盛り込まれた。
また、支援策では、刑事裁判への被害者参加制度の導入に合わせ、公費による被害者の弁護士選任制度の早期導入も求めた。さらに、被害者支援団体をバックアップするため関係機関が必要な知識を共有できるようハンドブックを作成したり、全国で一定レベルの支援をできるよう支援者の研修制度を導入したりすることも決まった。
取り調べの様子を撮ったDVDが証拠として採用され、調書が却下されました。
被告が88歳と、ずいぶん高齢なのに早口で次々と質問して、被告に不利な内容を押し付けていたとの判断です。
取り調べの可視化という点では、今回の判断は有効とされるのでしょう。
ただ可視化については、取り調べ状況が逐一明らかにされると、被疑者が自白しにくくなるとの見方もあり、難しいところですね。
録画から「任意性に疑い」と調書却下、大阪の殺人未遂公判
(2007年11月15日 読売新聞)
大阪地検が取り調べの様子をDVDに録画し、殺人未遂罪で起訴した大阪市西成区、無職蓮井一馬被告(88)の第4回公判が14日、大阪地裁であった。
蓮井被告は捜査段階で自白調書を作成されたが、公判では殺意を否認しており、西田真基裁判長は前回の法廷で上映されたDVDの録画内容から「取調官による誘導や誤導があった。任意性に疑いがある」として、検察側による自白調書の証拠請求を却下した。
裁判員制度を控え、検察当局は裁判員の負担を軽減し、自白の任意性を判断しやすいよう取り調べの録音・録画を試行。公判でのDVDの証拠採用は全国で4例あるが、調書の却下につながったのは初めて。
起訴状によると、蓮井被告は5月、自宅アパートで、共同トイレの修理を巡って住人男性とトラブルになり、果物ナイフで胸などを刺して約3週間のけがを負わせた。公判では、自白調書の任意性を判断するため、検察、弁護側双方がDVDを証拠請求した。
DVDには、自白調書の内容を確認する様子を約35分間にわたって録画した。検察官から「殺そうと思ったのは間違いないね」と聞かれ、蓮井被告が「間違いないです」と認める一方で、「殺そうとは思わんけど」と殺意を否認したり、調書の内容について「わかったようなわからんような……」と言葉を濁したりする場面も収められている。
西田裁判長は「殺意を否定しようとしたのを無視し、調書に沿う供述をするまで質問を続けた」と指摘。「高齢で聴力が著しく低下しているのに早口で次々に質問し、被告に不利な内容を押しつけていた疑いがある」などと批判した。
蓮井被告の弁護人で、「日本弁護士連合会取調べの可視化実現本部」副本部長の小坂井久弁護士は「裁判員制度で、録音・録画が任意性を判断する有力なツールになり得ることが証明された」としている。
認知症の人の土地・建物を担保に勝手に借金するとは、ひどいですねぇ。
業者は全額返還してもいいのでは?と思いましたが、業者とアイフルと和解だったようですね。
ところで、この記事の年の1月にアイフルはリストラをしていたようですが、今年の9月にも社員を半減するリストラ策を発表しています。
また、今年度の業績予想の修正も発表していて、純損益はこれまでの81億1500万円の黒字から3110億円の赤字に転落する見通しだそうです。
やはり、厳しいですね…。
認知症女性の資産担保融資でアイフルが解決金 大阪地裁
(2007年11月08日 朝日新聞)
大阪市東住吉区に住んでいた認知症の女性(06年に76歳で死去)の自宅を改修した大阪府泉南市のリフォーム業者が、女性の土地・建物を担保に消費者金融大手「アイフル」(京都市)から勝手に借金をしたとして、女性の兄が業者とアイフル側に抵当権抹消と慰謝料など約500万円の賠償を求めた訴訟は8日、大阪地裁で和解が成立した。アイフル側が抵当権を抹消して解決金20万円を、業者が50万円などを支払う内容となった。
女性側は、業者が04年9月、勝手に女性を連帯保証人にして土地・建物を担保に差し入れ、アイフルから300万円を借り入れたとして、05年10月に提訴。「業者は女性の判断能力の低下に乗じ、アイフルも女性の意思を確かめる義務を怠った」と主張していた。
テレビでよく見る過払い請求。
これって他人ごとではありません。
今まで消費者金融を利用したことのある方は、必ずチェックしてみてください。
この裁判官はどうしてしまったんでしょう?
「怠った」ということしか分からないのですが、うっかり手続きを忘れたっていうわけではないんでしょうね?
でも、それによって一度結審し判決を言い渡されていたのが、差し戻されて、また別の裁判官で行われた…とは、迷惑な話です。
裁判官が違法手続き 口頭弁論を公開せず結審 高裁が差し戻し
(2007年10月8日 東京新聞)
千葉地裁松戸支部の納谷肇裁判官(53)が、憲法の定める裁判公開の原則に反して、民事訴訟の口頭弁論を公開する手続きを怠ったまま結審し、判決を言い渡していたことが七日分かった。手続きの不備を指摘する原告側が控訴。東京高裁は「手続きは違法」と認定して審理を千葉地裁に差し戻した。千葉地裁は「違法と認定されたことは遺憾」とし、納谷裁判官の処分を検討している。
東京高裁が五月に言い渡した判決などによると、地主が借地人に賃貸契約の更新料約二百七十万円の支払いを求めた民事訴訟で、納谷裁判官は昨年十二月二十一日、公開された法廷ではない「弁論準備和解室」で、双方の弁護人と弁論準備手続きを行った。
その後、本来は公開の法廷と表示して口頭弁論をする必要があったが、納谷裁判官はこの手続きを怠り、書記官も同席させないまま同室で口頭弁論を行い、今年一月に請求棄却の判決を言い渡した。千葉地裁での差し戻し審は別の裁判官らが担当し、現在も継続している。
この男性は、銀行に連絡をして口座を凍結していたんですね。
ただ、その後自分のお金として返還されるまでが大変だったんですね。
現在は「振り込め詐欺救済法」(正式名称は「犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律」)により、銀行口座凍結後60日程度の手続きを経て、口座名義人の権利が消滅するようになったんですね。そして預金保険機構のホームページ上で、被害に遭った方からの資金分配の申請を受け付けることを周知(公告)し、所定の周知期間(30日以上とされています)内に申請のあった方に、資金が分配して返還されるようですよ。
振り込め使用口座の差し押さえ可能に 仙台地裁判決
(2007年09月20日河北新報)
訴えなどによると、原告は2005年11月、東京都内のおいを名乗る男から電話で「会社の金を使い込んだ」と言われ、指定された横浜市の銀行口座に156万円を振り込んだ。不審に思った原告からの通報で、銀行は現金を引き出される前に被告の口座を凍結。原告は同口座の残金を仮差し押さえした。
金融機関が振り込め詐欺に使われた口座を凍結しても、被害者は今回のように訴訟で返還手続きを進めなければならず、負担の重さと被害回復の遅れが指摘されている。
グレーゾーン金利を知れば、過払いの存在がわかる!5年以上前から借入をしている人は手続きでお金が返ってきます。知っていないと損するお金のお話でした。
振り込め詐欺で現金をだまし取られた仙台市の男性(73)が振込先の口座名義人の男性(70)に156万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が20日、仙台地裁であった。被告男性が所在不明で公示送達手続きが取られたため、訴訟は即日結審し、地裁は原告の請求をすべて認める判決を言い渡した。
判決により、原告は、所在不明になっている男性名義の口座の残金を差し押さえる強制執行が可能になった。
キャッシングに手を出し、ブラックリストに載ってしまったことで非常に苦労した経験があり2度と同じ目に合わないために、そのきっかけとなった裁判所関係のニュースデータを公開します。