この女性は「凄い!」の一言に尽きますね。
ご主人と始めた店を守りたい!の一心だったようですが。
普通なら弁護士に依頼するところも、経済的に余裕がなくて自分でそこから4年間勉強して…。
自分のような根性のない人間には、到底まねできないです。
京都の女性 独学で訴訟12件「全勝」460万円取り戻す
(2007年9月4日 読売新聞)
消費者金融業者から不当に高い金利を払わされたとして、京都市の女性(45)が、弁護士に依頼せず、貸し手12業者を相手に計約460万円の過払い金返還請求訴訟を起こし、勝訴や実質勝訴の和解で全額を取り戻した。市販の専門書などを参考に独学で法律を勉強し、4年間裁判を続けた、その原動力は、夫(44)の趣味を生かした小さな飲食店を守りたい一心だった。女性は「同じように困っている人に、自力でお金を取り戻せることを知ってほしい」と話している。
女性は20歳代半ば、商社を辞めた夫と、夢だった飲食店を開いた。ところが、改装業者とのトラブルなどで資金繰りに行き詰まり、1993年、初めて信販会社から運転資金として10万円を借り、やがて数業者から借り入れと返済を繰り返す多重債務状態に陥った。
当時の出資法の上限金利は年40・004%(2000年まで)。女性は年40%前後の利息で、計12社から約4万~140万円を借り、03年時の借金は約500万円まで膨らんでいた。
毎月の返済は15万~20万円に達し、生活にも困り始め閉店も考えていた03年春。書店でふと立ち読みした本で、利息制限法の上限を超える利息は払う必要がないことを知り、自宅で計算し直すと、7年間も払い過ぎていたことがわかった。
悔しさがこみあげたが、弁護士に頼む余裕はなく、夫は店の経営に専念するため、女性は一人で訴訟を起こすことを決意した。大学時代も法律とは無縁だったが、書店で専門書を購入し、図書館に通い詰めた。訴状は手書きで作成し、03年8月に1社を相手に、京都地裁に初提訴した。
昼間は店を手伝い、帰宅後の深夜に勉強する毎日。難解な法律用語は、法廷で裁判官らに尋ねた。女性は「不当な返済を続けてきた悔しさと、店をたたみたくないという思いが背中を押してくれた」という。
翌04年3月、約30万円の過払い金を業者に認めさせる内容で和解し、その金で11業者を次々と提訴。10業者から計約330万円が戻ったが、1業者だけ1、2審とも敗訴した。
それでも、「泣き寝入りはしたくない」と上告。最高裁は昨年11月、女性の訴えを認め高裁判決を破棄、審理を大阪高裁に差し戻した。差し戻し審は、業者側に約100万円の支払いを命じる女性勝訴の判決を言い渡し、先月確定した。
女性は「借り手の弱みにつけ込み、不当な利息で貸し付ける業者の姿勢をあきらめずに追及したことが全面解決につながった。ほかにも多くの人が被害に遭っていると思う。絶対負けないで」と訴えている。
多重債務者の支援団体「大阪クレジット・サラ金被害者の会(大阪いちょうの会)」の田中祥晃(よしあき)事務局長の話「本人訴訟で最高裁まで争って勝訴したのは極めて珍しく、被害者の大きな励みになる。裁判は法律の素人にはまだ敷居が高く、弁護士に頼めず泣き寝入りしている人も多い。救済のあり方も見直してほしい」
最高裁の判例は、今後の過払い金返還の流れを大きく左右しますから重大ですよね。
この判決では、借り手側に有利な初判断が出たようです。
1・2審では利息は認められなかったようですが。
5パーセントの利息を付けて返還するとなると、貸金業者は今後きつくなってくるでしょうね。
過払い金、貸金業者は利息つけて返還を…最高裁が初の判断
(2007年7月13日 読売新聞)
利息制限法の上限を超える高金利で支払った「過払い金」の返還を求められた業者は、利息をつけて支払わなければならないかどうかが争われた二つの訴訟の上告審判決が13 日、最高裁第2小法廷であった。
同小法廷は「過払い金が生じるようなケースでは、原則として過払い金が生じた時から 利息をつけて返還すべきだ」と、借り手側に有利な初判断を示した。
その上で、利息を付ける必要はないとした2審判決を破棄、審理をいずれも東京高裁に 差し戻した。
訴訟は、貸金業者から融資を受けた東京都の女性ら2人が起こした。
民法は、不当だと知りつつ得た利益については、5%の利息を付けて返還しなければな らないと規定している。
業者側は「貸金業規制法で定められた所定の書面を交付するなど超過金利が認められる ケースと思っていた。過払い金が生じているとは知らなかった」などと主張していた。しかし、判決は、問題の融資は超過金利が認められないケースと認定した上で、「過払い金が生じた場合は原則として貸金業者は不当な利益と知りつつ受け取っていたとみなすべき だ」と述べた。
1、2審判決は、いずれも「貸金業者は、過払い金が不当な利益だと知っていたとは言えない」として、利息を認めなかった。
これが2007年の記事で、そのあと袴田事件の裁判はどうなっているんでしょう。
昨年2008年には袴田さんの特別抗告を棄却する決定が出ているようですね。
今年で、事件から43年経つそうです。
つい最近では、足利事件のこともありましたしね…。
袴田事件「再審を」 1審の元裁判官が上申書
(2007年6月26日 産経新聞)
静岡県清水市(現静岡市清水区)で昭和41年、みそ会社専務一家4人が殺害された 「袴田事件」で、元プロボクサーの袴田巌死刑囚(71)=死刑確定=の1審・静岡地裁で判決文を起案した元裁判官の熊本典道氏(69)が25日、再審開始を求める上申書を最高裁に提出した。
上申書ではまず、「公判当初より無罪心証を持っていた」と指摘。その上で「他の裁判官を説得できず、死刑判決を書かざるを得なかった。評議の秘密は十分理解しているが、再審実現の最後のチャンスと思い、非難を覚悟の上、無罪心証を公表した」と記している。
熊本氏は提出後、東京・霞が関の司法記者クラブで会見し「袴田巌という1人の青年が 一生を棒にふったことになる。袴田さんには『ごめん』という以外に言葉がない」と述べ た。熊本氏は43年9月の静岡地裁判決で、主任裁判官として判決文を起案した。
袴田死刑囚は冤罪(えんざい)を訴えていたが、55年に死刑確定。静岡地裁、東京高裁とも再審請求を退けており、現在、最高裁に特別抗告している。
この記事は2年前ですが、被害者参加制度自体は昨年から始まっているようですね。
それまで「被害をうけた当事者なのに刑事裁判に参加できない」「被告の主張に反論もできない」といった、犯罪被害者の声があり、「全国犯罪被害者の会」が集めた55万人余りの署名によって、法改正となったようです。
被害者が参加するときの配慮を忘れてはいけませんね。
「被害者参加」来年から 改正刑訴法 刑事裁判で損賠請求も
犯罪被害者・遺族が刑事裁判の法廷で、加害者(被告)に対して直接質問などができる「被害者参加」制度の導入を盛り込んだ刑事訴訟法改正案が20日、参院本会議で可決、成立した。刑事裁判の法廷で民事上の損害賠償も請求できる「付帯私訴」制度の導入も盛り込まれた。平成20年中に施行される。
一般国民が刑事裁判の審理に参加する裁判員制度が21年5月までに導入される。先行して始まる被害者参加制度で裁判員が受ける影響を見極めるため、施行後3年をめどに制度の見直しを検討する規定も設けられた。
被害者参加制度は、故意の犯罪行為で人を死傷させた罪(殺人、傷害致死傷、危険運転致死傷など)や強姦(ごうかん)、業務上過失致死傷といった罪で起訴された被告の裁判が対象。裁判所が許可すれば、被告人質問や被告に求めたい刑罰などの陳述が可能となる。
付帯私訴は故意の犯罪で人を死傷させた罪などが対象。刑事裁判を担当した裁判官がそのまま民事裁判も担当し、有罪の場合は刑事裁判の立証成果がそのまま活用され、4回以内の審理で賠償額が決められる。
被害者参加制度の導入について、「全国犯罪被害者の会」(あすの会)代表幹事の岡村勲弁護士は、「刑事裁判から排除されることで被ってきた犯罪被害者の苦しみと司法不信は相当に軽減される」と指摘。一方、制度の導入に反対してきた「被害者と司法を考える会」代表の片山徒有さんは、「被害者が公判で2次被害を受けるといった問題を指摘してきた。今後も制度の問題点を訴えていきたい」と話している。
裁判所の判決に納得がいかなくて、こんな火をつける人がいるんだ…と思いました。
が、ひょっとしたらいろんな形で不服を言ってきたり、変なことをする人っているのかも、と思ってしまいました。
もちろん、そんなことするのは逆恨みもいいところ。
もってのほかです。
簡裁に放火男、来訪者軽症 「判決に納得いかず恨み」
(2007年7月25日東京新聞)
25日午後1時半ごろ、神奈川県藤沢市の藤沢簡易裁判所2階の廊下で、男がペットボ トルに入れたガソリンのような液体を床にまき、ライターで火をつけて逃げた。すぐに職 員が消し止めたが、床や天井など約3平方メートルが焦げ、近くにいた来訪者の男性2人 が煙を吸うなどして軽症。
1階にたまたまいた藤沢署員が、服に火がついたまま階段を駆け降りてきた男を取り押 さえ、放火の現行犯で逮捕した。
男は群馬県出身の住所不定、無職樺沢沢夫容疑者(59)で、左手に軽いやけど。調べに対し「交通事故をめぐる損害賠償訴訟の判決に納得がいかず、裁判所を恨んでいた」と供述しているという。
キャッシングに手を出し、ブラックリストに載ってしまったことで非常に苦労した経験があり2度と同じ目に合わないために、そのきっかけとなった裁判所関係のニュースデータを公開します。