ただ、また同じような事件を起こす可能性が高いと。
「心神喪失者医療観察法」では、治療の各段階で裁判所が関与するのが特徴だそうです。
神奈川県内で08年度末までに裁判所が出した入院決定は40件、年間に1人平均約2000万円といわれる治療費は全額国費で賄われるそうです。

ことば:心神喪失者医療観察法 /神奈川
(2010年4月1日 毎日新聞)
◇心神喪失者医療観察法
殺人・放火・傷害致死などの重大事件を起こした精神障害者の処遇を定めた法律。専門的・継続的な治療により、再び事件を起こすことなく、社会復帰を促進する狙い。01年の大阪・池田小児童殺傷事件が制定のきっかけとされる。治療の各段階で裁判所が関与するのが特徴。裁判官と精神科医が合議する審判で(1)入院(2)通院(3)入・通院の必要性なし--のいずれかを決定。(1)の場合、厚生労働省所管の専門施設に入り、裁判所が6カ月ごとに入院継続の是非を判断する。県内で08年度末までに裁判所が出した入院決定は40件に上る。年間に1人平均約2000万円といわれる治療費は全額国費で賄われる。
その時でも、ずいぶん昔の話のように感じてましたが。
国が裁判所での和解協議のテーブルについたのは、水俣病裁判40年の歴史上初めてだとか。
被害にあった方たちには、ここまで来るのにかなり長い道のりでしたね。
水俣病訴訟 和解へ 「不知火会」も受諾 29日地裁で基本合意
(2010年3月29日 西日本新聞)
水俣病未認定患者でつくる「水俣病不知火患者会」(熊本県水俣市、約2800人)は28日、国、熊本県、原因企業チッソに損害賠償を求めている集団訴訟をめぐり、水俣市で原告団総会を開催。熊本地裁が出した和解所見の受け入れを決めた。被告3者は既に受け入れを表明しており、29日に開く第5回和解協議の場で、地裁所見に基本合意する予定。
15日に出された地裁の所見は、チッソが一時金210万円と団体解決金29億5千万円を、国と熊本県が療養手当月額1万2900-1万7700円を支払うなどの内容。
原告団総会には、熊本、鹿児島両県などから約1100人が出席。大石利生原告団長が「(事前に実施した)地域集会で会員も所見を積極的に評価していた」として、所見受け入れを提案した。
理由として(1)裁判所が提示(2)判定方法では、行政による切り捨ての危険を大幅に克服(3)補償内容は(団体解決金も含めれば)最高裁の水準に見劣りせず(4)高齢の原告が多く早期救済が求められている‐ことを挙げた。
出席者1050人と議長一任の委任状931通の計1981票で採決され、圧倒的賛成多数で所見受諾を決定した。反対は1票。棄権者が数人いたとみられる。
採決前の討論では、救済対象から外れた1969年12月以降に出生した原告12人の処遇が焦点となり、「ともに解決できないのは残念」「国ともっと突っ込んで交渉を」などの要望が続出。園田昭人弁護団長が「近く国と交渉し、だめな場合、同じ仲間なので(団体解決金の中から)一時金を支給したい」と答え、救済の対象地域外や認定申請を棄却された原告に対しても支援を約束。早期救済を求める意見も出され大勢が固まった。
所見は年内解決を求めているが、判定結果が見通せないこともあり、原告団は全員の結果判明後に再度開く総会で和解の諾否を最終決定する考え。大石団長は「すべての被害者を救済する大きな目的に向かって全員が闘ってほしい」と訴えた。
不知火会は2005年10月に第1陣が熊本地裁に提訴。19陣までの原告は計2123人。同地裁が今年1月に和解勧告し、協議が行われていた。
最終的に選考される時にも、多くの人が時間を作って遠くから足を運ぶわけですよね。
その中でほんの一握りの人が選らばられる訳で…。
こういう様子を見ていると、自分はちょっと積極的に参加はできないような気がしますが、多くの人のように気持ちが変わっていくんですかね。

裁判員候補者、選任待ち「受験生の心境」
(2010年01月27日 朝日新聞)
小雪が舞う中、県内各地から呼び出された裁判員候補者らは午前9時ごろ、続々と盛岡地裁に到着した。
奥州市の無職の女性(64)は午前7時の電車に乗って来た。一昨年末に候補者に選ばれた際には「面倒を見ないといけない孫がいるので」と辞退の希望を地裁に伝えてあったが、実際に呼び出し状が届いてみると「行かなかきゃいけない」と思ったという。
刑事裁判に市民が参加する制度についてはあまり賛成していないが、「選ばれれば、この際だからやってもいいかなと思う」と話した。
盛岡市に住民票を置く宗教団体職員の女性(70)は今、数カ月の予定で息子のいる札幌市で暮らしているため、飛行機で来た。「裁判所から通知が来て、読んだことのない裁判の本を読んだりテレビを見たりした。ぜひ参加したい」と意欲を見せた。
選任手続きは非公開で、午前9時半過ぎから始まった。地裁によると呼び出し状を送った75人のうち、事前に33人の辞退を認め、2人には呼び出し状が届かなかった。選任手続きに出席を求められていたのは40人で、うち33人が実際に足を運んだ。出席率は82.5%。さらに選任手続きの中で、このうち5人の辞退が認められた。
手続きで候補者は被告の名前や事件の概要が説明されたうえ、「被告や被害者と関係がないか」などを確かめる質問を受けた。裁判官のほか検察官や弁護人が並ぶ場で、7人は個別に面接を受けたという。最終的にくじで、裁判員と補充裁判員が選ばれた。
選任手続きは2時間余。選ばれなかった候補者は正午前に、地裁から出てきた。
盛岡市の会社員の男性(60)は「仕事が忙しいので当たらない方がいいと思っていたが、手続きが進むうちに『体験してみたいな』と思った」と言う。「裁判員に選ばれた人たちはみな深刻そうな顔で、決して喜んでいる感じではなかった」
盛岡市の家電販売業の男性(63)によると、待合室には新聞や雑誌が用意され、自然の風景の映像が流れていた。お茶やコーヒーを自由に飲めて、リラックスした雰囲気だったという。「こんな機会はめったにないから選ばれたかったが、残念」と語り、午後から会社に向かった。
「裁判所内はすごく静かで厳粛な雰囲気だった」。前日から盛岡市で宿泊して手続きに臨んだ一関市のパート女性(57)は、待ち時間が長く感じられた。「選ばれるか選ばれないか、受験生みたいな気持ちでした」。軽米町の農業男性(78)は、身内の不幸があったため、個別の面接を希望して辞退を希望し、認められた。「急な事情で辞退することになり残念です」と語った。
取り調べの様子を撮ったDVDが証拠として採用され、調書が却下されました。
被告が88歳と、ずいぶん高齢なのに早口で次々と質問して、被告に不利な内容を押し付けていたとの判断です。
取り調べの可視化という点では、今回の判断は有効とされるのでしょう。
ただ可視化については、取り調べ状況が逐一明らかにされると、被疑者が自白しにくくなるとの見方もあり、難しいところですね。
録画から「任意性に疑い」と調書却下、大阪の殺人未遂公判
(2007年11月15日 読売新聞)
大阪地検が取り調べの様子をDVDに録画し、殺人未遂罪で起訴した大阪市西成区、無職蓮井一馬被告(88)の第4回公判が14日、大阪地裁であった。
蓮井被告は捜査段階で自白調書を作成されたが、公判では殺意を否認しており、西田真基裁判長は前回の法廷で上映されたDVDの録画内容から「取調官による誘導や誤導があった。任意性に疑いがある」として、検察側による自白調書の証拠請求を却下した。
裁判員制度を控え、検察当局は裁判員の負担を軽減し、自白の任意性を判断しやすいよう取り調べの録音・録画を試行。公判でのDVDの証拠採用は全国で4例あるが、調書の却下につながったのは初めて。
起訴状によると、蓮井被告は5月、自宅アパートで、共同トイレの修理を巡って住人男性とトラブルになり、果物ナイフで胸などを刺して約3週間のけがを負わせた。公判では、自白調書の任意性を判断するため、検察、弁護側双方がDVDを証拠請求した。
DVDには、自白調書の内容を確認する様子を約35分間にわたって録画した。検察官から「殺そうと思ったのは間違いないね」と聞かれ、蓮井被告が「間違いないです」と認める一方で、「殺そうとは思わんけど」と殺意を否認したり、調書の内容について「わかったようなわからんような……」と言葉を濁したりする場面も収められている。
西田裁判長は「殺意を否定しようとしたのを無視し、調書に沿う供述をするまで質問を続けた」と指摘。「高齢で聴力が著しく低下しているのに早口で次々に質問し、被告に不利な内容を押しつけていた疑いがある」などと批判した。
蓮井被告の弁護人で、「日本弁護士連合会取調べの可視化実現本部」副本部長の小坂井久弁護士は「裁判員制度で、録音・録画が任意性を判断する有力なツールになり得ることが証明された」としている。
認知症の人の土地・建物を担保に勝手に借金するとは、ひどいですねぇ。
業者は全額返還してもいいのでは?と思いましたが、業者とアイフルと和解だったようですね。
ところで、この記事の年の1月にアイフルはリストラをしていたようですが、今年の9月にも社員を半減するリストラ策を発表しています。
また、今年度の業績予想の修正も発表していて、純損益はこれまでの81億1500万円の黒字から3110億円の赤字に転落する見通しだそうです。
やはり、厳しいですね…。
認知症女性の資産担保融資でアイフルが解決金 大阪地裁
(2007年11月08日 朝日新聞)
大阪市東住吉区に住んでいた認知症の女性(06年に76歳で死去)の自宅を改修した大阪府泉南市のリフォーム業者が、女性の土地・建物を担保に消費者金融大手「アイフル」(京都市)から勝手に借金をしたとして、女性の兄が業者とアイフル側に抵当権抹消と慰謝料など約500万円の賠償を求めた訴訟は8日、大阪地裁で和解が成立した。アイフル側が抵当権を抹消して解決金20万円を、業者が50万円などを支払う内容となった。
女性側は、業者が04年9月、勝手に女性を連帯保証人にして土地・建物を担保に差し入れ、アイフルから300万円を借り入れたとして、05年10月に提訴。「業者は女性の判断能力の低下に乗じ、アイフルも女性の意思を確かめる義務を怠った」と主張していた。
テレビでよく見る過払い請求。
これって他人ごとではありません。
今まで消費者金融を利用したことのある方は、必ずチェックしてみてください。
キャッシングに手を出し、ブラックリストに載ってしまったことで非常に苦労した経験があり2度と同じ目に合わないために、そのきっかけとなった裁判所関係のニュースデータを公開します。